あなたが洗車をするとき、どんな道具を使っていますか?
「一般に売られている洗車スポンジ」でしょうか?それとも、「マイクロファイバーグローブ」でしょうか?
こだわる方なら羊の毛でできている『ムートングローブ』を使っているかもしれません。
しかし、あなたが良いと思って使っている洗車用品が「大切な車にキズをつける原因」になることも。
一見、ふわふわしていて見た目もプロっぽいムートングローブですが、実は「洗車したらキズが付いた!」というトラブルも多いことを知っていましたか?
今回は、ムートングローブのメリットと5つのデメリット、ムートン洗車でもできるだけ車にキズをつけない方法を徹底解説します。
ケルヒャー社の調査で分かる日本の洗車事情
清掃機器の最大手メーカー・ケルヒャー社(ドイツ)の日本法人ケルヒャー・ジャパン株式会社が”黄砂”についてのアンケート調査をしています(2017年2月)。
メインは黄砂についてのアンケートですが、洗車の頻度や洗車方法についてもアンケートを取っています。
少し、ご紹介しましょう。
- 普段どのような洗車方法を行うことが多いですか?
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水や洗剤で手洗い 30%
洗車機を利用する 28%
布や洗車シートで拭く 15%
- 洗車についてイヤだと思うことは何ですか?
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洗車場(ガソリンスタンド)に行くのが面倒 39%
準備するのが面倒 31%
その他にも、「あまり綺麗にならない」「傷がつくのが怖い」などの声も聞かれます。
半数以上の方が水を使った洗車を行なっている一方で、洗車が面倒だと思ってる人がかなりいることがわかります。
一般に洗車に使われているアイテムは?
車を洗うアイテム① スポンジ
ウレタン素材のスポンジが最も一般的です。黄色の手のひら以上のサイズのスポンジを使用している人は多いのではないでしょうか?
拭きあげに使うアイテムでは吸水性が抜群のセルローススポンジも人気です。
持ち手のあるグリップタイプも直接スポンジを持たなくても良いので寒い時期に便利なうえ、脚立に乗らずに天井にも手が届くといった理由から利用されています。
車を洗うアイテム② マイクロファイバークロス
スポンジと同様、洗車に欠かせないアイテムと言われるのがマイクロファイバークロスです。
マイクロファイバークロスはナイロン・ポリエステルを使って作られた合成繊維で、その繊維は人間の髪の毛の100分の1以下という細さが特徴です。
ムートンでキズの原因になる繊維の絡まりや砂埃の巻き込みが少なく、繊維の力で汚れをキャッチしてくれるので力を入れることなく汚れを落とすことができます。
車を洗うアイテム③ ムートングローブ
そして、洗車アイテムでもう一つ人気なのが、ムートングローブです。
様々な洗車サービスに使用されているだけでなく、一般のカーユーザーからも人できで、「ムートンで洗車をするようになってから車が汚れるのが楽しみ!」なんて声が聞こえるほど。
では、ここからはムートングローブについて詳しく紹介していきます。
ムートンは研磨用のバフに使われている!?
ムートンとは羊、特に仔羊の毛皮のことを言います。
仔羊の毛皮をすき毛してから刈り、加工したものです。ムートンの特徴として、吸湿性・放湿性・弾力性・保温性があります。
このような特徴から、ムートンは「傷をつけない洗車」ができると思われているのですが・・・
実は、ムートン(羊毛)は研磨作業で使用するポリッシングバフ(円盤状の回転する研磨用具)に使われている素材です。
見た目や触り心地はフワフワしていて柔らかい印象ですが、繊維は硬くスポンジやクロスと比較すると洗車傷がつきやすい素材なんです。
さらに、ムートンの毛の中に砂や埃を巻き込んでしまうと、ボディーに深い傷をつけてしまことも。
では、ムートングローブのメリットとデメリットを詳しくみてみましょう。
ムートングローブのメリット
ムートンには3つのメリットがあります。
- 手のひら全体で洗えるので力を入れやすい
- 一度で洗える範囲が広い
- 車を洗う時に地面に落としにくい
手のひら全体で洗えるので力を入れやすい
ほとんどのムートンはグローブタイプになっています。
スポンジの場合手の感覚で洗車はできませんが、ムートンは自分の手のひらで車を洗っている感覚になります。
そのため、力加減が調整しやすいのがメリットです。
一度で洗える範囲が広い
手のひら全体で洗うムートングローブは、スポンジなどと比較すると一度に洗える範囲が広くなります。
車を洗う時に地面に落としにくい
車を洗うスポンジやムートンは、洗車途中に地面に落としてしまうと砂などが付着してしまうので使わない方が良いとされています。
たとえ洗ったとしても、スポンジやムートンの繊維に入り込んだゴミは完璧には取れないからです。
ムートングローブは、手袋状になっているためうっかり落としてしまう心配がありません。
ムートングローブの5つのデメリット
ムートンで洗車するデメリットは5つあります。
- 泡が長持ちしない
- 毛が絡まる
- 洗車傷が付きやすい
- 毛に汚れが絡まりやすい
- 価格が高い
泡が長持ちしない
ムートンのイメージはモコモコの泡が豊富に付いてる感じではないでしょうか?
実は、ムートンは表面には泡が付着しますが奥まで浸透しづらく、頻繁に泡を付け足さなければいけません。
小型車であれば気にならないかもしれませんが、大きな車だとかなり面倒です。
毛が絡まる
ムートングローブの毛は、手入れが悪かったり、繰り返し使用すると羊毛同士が絡まってしまいます。
太い塊になってしまうと、泡が付きづらいだけでなく、硬くなって車に傷をつける原因になります。
毛が絡まる原因の一つはムートンの動かし方です。
ムートンは縦横の直線に動かすと絡まりにくいのですが、円を描くようにクルクルと動かすと毛が絡まってしまいます。
スポンジやクロスよりも洗い方に注意が必要です。
洗車傷が付きやすい
羊毛は先ほども紹介した通り、一見フワフワでも研磨用のバフの素材になる程、繊維が硬いんです。
また、手の平の感覚で洗えるのはメリットですが、その分スポンジよりも力を入れて洗うことができます。
力が入れば入るほど、ボディーとの接触も増えるため傷が付きやすくなります。
毛に汚れが絡まりやすい
ムートン洗車が傷を付けやすいもう一つの理由が、羊毛に絡まった汚れです。
ムートングローブのほとんどは毛足が長い羊毛が使用されているため、洗車中に砂などの汚れを巻き込んでしまった場合、気付かずそのまま強く洗ってしまう可能性があります。
砂や汚れが付着したままボディーを洗うと、細かい洗車傷がついてしまいます。
価格が高い
ムートングローブはお手入れ次第では、スポンジより長く使えますが、1つ300円程度で購入できるスポンジと比較すると、ムートングローブは1000円〜3000円とやや高額です。
メリットとデメリットがわかったところで、実際にプロはどのようにムートン洗車をしているのかみてみましょう。
業者でムートンを使ってどんな洗車がされているか
洗車はガソリンスタンド・大手カー用品店・カーディラー・洗車専門業者などで気軽に利用できます。
手洗いによる洗車、そして洗車機による洗車と2種類があります。
手洗い洗車に関しては、ムートンの使用が主流になっています。
ここで、手洗い洗車に力を入れているエネオスからご紹介しましょう。
エネオスのムートン手洗い洗車とは?
エネオスでは羊毛100%のムートンパッドで洗車を行っています。
洗車の流れは、予備洗い→泡シャンプー→ムートン手洗い→洗い流し→仕上げ、となっています。
手洗い洗車のこだわりは、柔らかい泡と羊毛のムートンパッドです。きめ細やかな泡によって車のボディに付着している砂汚れ・油汚れを浮かして汚れを落としやすくします。
車に直接触れるムートンパッドは100%羊毛のとても柔らかいもので傷つけることなく丁寧に洗うことができるとされています。
次に、洗車専門店キーパーの手洗い洗車を見てみましょう。
キーパーの純水手洗い洗車
キーパーはコーティングだけでなく手洗い洗車も有名です。
キーパーの手洗い洗車はムートン100%のラ・モップとモコモコのクリーミーな泡を使って洗い上げ、最後に純水で仕上げてくれるのが特徴です。
ラ・モップはネットでも購入可能です。
エネオスの手洗い洗車は傷がつく!?
ネット上の口コミを見ると、ガソリンスタンドで手洗い洗車をしたら傷だらけに!ムートンだったのに・・・という書き込みを見かけます。
実際のところはどうなんでしょうか?
ということで、近日中にエネオスで洗車体験してきます!現在、洗車体験用の車を準備中です。事前に研磨作業をしてキズをゼロにし、さらに普段通りに使用してから洗車に出したいと思います。
乞うご期待!
おすすめのムートン(どうしてもムートン派なあなたへ)
ムートングローブはどこで買える?
ムートンはこれらのショップで簡単に入手可能です。
- カー用品店(オートバックスやイエローハットなど)
- ホームセンター(カインズなど)
- オンラインショッピング(シュアラスターやアマゾンなど)
それでは、いくつかおすすめのムートンアイテムをみていきましょう。
100%羊毛のムートンに限ってのご紹介です。
①KeePer PRO SHOP仕様 ラ・モップⅡ
100%天然素材、KeePer PRO SHOPで使っているものと同じムートンがご家庭でも使えます。
抜群のフィット感、手洗い洗車に最適な毛の密度と柔らかさナンバー1のオーストラリア産羊毛を100%使用しています。
グローブタイプで細かなところまで洗いやすく、すばやく洗車することができます。
レビューでも「間違いなく傷が付きにくい」「他社のものは使えない」など高評価です。
②SurLuster シュアラスターウォッシンググローブ
高品質・キズ防止・オーストラリア羊毛S-106
天然羊毛ならではの抜群の柔らかさが車のボディに優しく、コーティング施工車にも最適です。
面積の大きいグローブタイプなので、ボディラインに沿って撫でるように洗え、疲れにくく洗車が楽にスピーディにできます。
③ソフト99(SOFT 99)ムートンマスター
ソフト99で販売されているムートンも、オーストラリア産羊毛を100%使用しています。
指先を二股に割った先割れ形状になっており、ドアハンドルやフロントグリル部分など洗浄アイテムを入れにくい部分まで綺麗に洗えるように工夫されています。
水平面・垂直面に関係なくラクラク洗車ができます。
④TARO WORKS 洗車スポンジモップムートン
アメリカの愛車家に売れている「タロウワークスのウール」ウォッシュミットは、洗車スポンジに比べ泡立ちも良く耐久性もあり繰り返し使えて経済的。
他にも安いものでは2枚セットで500円以下で購入できるものがありますが、ムートンではなく”ムートン風”だったりするのでご注意ください。
さて、ムートンを使って洗浄するとき、洗車シャンプーを選ぶことも大切なキーポイントとなります。
次では、おすすめの洗車シャンプーをご紹介します。
おすすめ洗車シャンプー紹介!
機能的なムートンを選んだのに、質のよくない洗車シャンプーを使ってはいけませんね。
おすすめの洗車シャンプーをご紹介しますので参考にしてください。
スペチアーレ(ミネラルオフシャンプー)
本格派のプロ仕様カーシャンプー
「ミネラルオフシャンプー」はガラスコーティング専門店で実際に使われているプロ仕様のカーシャンプー です。
汚れ落ちが一般的なカーシャンプーより優れているのはもちろんですが、「ミネラルオフシャンプー」一番のおすすめポイントは『極初期のイオンデポジットを予防、軽減する効果』を兼ね備えていること。
500mlで約1800円(希釈無し)と少し高額な感じはしますが、洗車のたびにイオンデポジットが積み重なり蓄積するのを予防できると思うと、コスパは思うほど悪くありません。
ムートンを選んだら、正しい洗車で効率化を図ろう!
正しいムートン・洗車シャンプーを選ぶだけでなく、正しい洗車方法を知ることが大切です。
洗車のステップをご紹介しましょう。
①まずは水洗い
車のボディには無数のホコリ・砂埃が積もっています。どんなに良いムートンを選んでも、その砂埃などを落とさずにいきなり洗車すると傷がつく可能性があります。
まずは、水洗いをしっかりしてできる限りの汚れを落としましょう。
②摩擦を減らした泡洗浄
ムートンを使用するメリットの一つは泡立ちが良いことです。洗車シャンプーの使用量も少なくなります。
しっかりと泡立てて洗浄すること、泡立てた泡で優しく洗浄することで塗装面との摩擦を避け、結果キズをつけにくい洗車になります。
洗車のコツは「高いところから低いところ」に向かってすることです。
③泡を洗い流す
たっぷりの水で泡を洗い流します。この時も高いところから低いところへが鉄則です。
④仕上げの拭き取りをする
洗車が終わったら、そのままにしてはいけません。必ず、しっかりと拭き取りをしましょう。この作業を省略すると、水道水に含まれるカルシウムやケイ素などのミネラル成分がボディに残ってしまい、イオンデポジット(水ジミ)の原因を作ってしまいます。
水分の拭き取りは短時間に一気に済ませることでウォータースポットを軽減することができます。プロが使っているバスタオルサイズのマイクロファイバークロスなら何度も拭く必要がないので時間短縮、労力の軽減が可能になります。
ムートンの使用可能回数や保管方法は?
ムートンの使用可能回数ですが、毎日使用しても約3~4ケ月程度の使用が可能です。しかし、これは品質のよいムートンに限ってということになります。
また保管方法や手入れによって、その耐久性に影響します。
使い終わったムートンは、砂やホコリが入り込んでいないか確認します。
そして、ウール用洗剤でよくすすいだ上で陰干し乾燥させましょう。
ムートンはこのようにしかりとお手入れしてあげることで、長く使うことができます。
車内保管でなく、寒暖差が少なく直射日光の当たらない場所での保管がおすすめです。