普段の洗車で、“下回り”までしっかり洗えていますか?
ボディやガラスはピカピカでも、車の下回りには泥・砂・融雪剤などの汚れがどんどん蓄積しています。
放置していると、見えない場所からサビやトラブルが進行してしまうことも…。
特に雪国や海沿い地域では、「下回り洗浄」は洗車の一部というより“メンテナンスの基本”とも言える重要なケアです。
- この記事では、
- 下回り洗浄が必要な理由
- 洗浄に使うアイテムややり方
頻度や注意点
などを、車のプロの目線でわかりやすく解説していきます。
「まだ下回りを洗ったことがない」
「そもそもどこをどう洗えばいいの?」
という方は、ぜひ最後までご覧ください。
なぜ車の下回り洗浄が必要なのか

車の下回りについては、普段なかなか意識しないものですよね。
目につく部分ではないですので、外見のみを気にする人にとっては重要な部分ではないのかもしれません。
そこで、ここでは車の下回りを洗浄しないことによる問題について解説しましょう。
見えない場所だからこそ汚れが溜まる
車の下回りは、普段の洗車では見えにくく、意識しづらい部分です。
しかし実際には、走行中に巻き上げた泥・砂・油汚れなどが常に付着しており、見た目以上に汚れやすい場所でもあります。
特に雨の日や未舗装路を走ったあとは、目に見えないところにたくさんの汚れがこびりついています。
ボディは定期的に洗っていても、下回りを放置していると車全体の寿命に関わるリスクもあるのです。
放置するとどうなる?下回りのトラブル例
下回りの汚れを放置してしまうと、以下のようなトラブルを引き起こす原因になります。
- 錆の発生・進行(特にフレームやマフラー)
- 足回り部品やブレーキ周辺の劣化
- 走行中の異音や不具合の原因に
一度発生した錆は進行を止めるのが難しく、修理費も高額になるケースが多いです。
目に見えない場所だからこそ、定期的な洗浄が“予防整備”として重要になります。
雪国・海沿いエリアは特に注意!塩害のリスク
新潟のような雪国や、沿岸地域ではさらに注意が必要です。
冬季は融雪剤(塩化カルシウムなど)、夏場は潮風や潮水の飛沫などによって、下回りに強い腐食性の汚れが付着します。
特に融雪剤は鉄や金属に付着するとサビを加速させるため、数週間放置するだけでも深刻な影響を与えることがあります。
こうした地域では、季節や走行環境に応じて下回り洗浄をルーティン化することが大切です。
下回りに溜まる汚れとは?
泥・砂・油汚れ・融雪剤などの種類
車の下回りには、走行環境によってさまざまな汚れが付着します。代表的なものはこちらです:
- 泥・砂・ホコリ:未舗装路や雨の日に巻き上げたもの。乾くと固まりやすく、放置すると落としづらくなります。
- 油汚れ・排気ガスのすす:エンジンや路面からの油分が下回りにこびりつくと、黒ずみやニオイの原因になります。
- 融雪剤(塩化カルシウムなど):雪国では冬季に道路へ撒かれるもので、サビの最大要因ともいわれます。
- 水たまり・ぬかるみの汚れ:水分と泥のミックスで乾燥後に固着。腐敗したり臭気の元になることも。
これらは放置すると見た目以上に頑固な汚れへと変化し、サビ・腐食・部品劣化の原因になりかねません。
どのくらいで蓄積する?使用状況別の目安
汚れの蓄積スピードは、車の使い方によって大きく変わります。
使用状況 | 汚れの蓄積スピード | 下回り洗浄の目安 |
毎日通勤で使う(舗装路メイン) | やや速い | 月1回+雨の日後や長距離後に洗浄推奨 |
雪国・海沿いに住んでいる | 非常に速い | 2週間〜月1回が理想 |
オフロード・山道・農道が多い | 極端に速い | 毎走行後に簡易洗浄を推奨 |
月数回しか乗らない | 遅いがサビリスクあり | 季節ごとの洗浄+長距離後に洗浄 |
つまり、「そんなに汚れていないかも」と思っていても、下回りは意外と汚れていることが多いのです。
定期的な洗浄習慣を持つことが、愛車を長持ちさせるコツになります。
汚れをしっかり落としたら、次は“防錆対策”も忘れずに。
サビの原因や防ぎ方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 車の下回りはなぜサビる?防錆対策の基本
車の下回り洗浄、どうやる?【基本ステップ】
車の下回りについては、手の届きにくい部分なので、洗浄の仕方がわからないという人が多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは洗浄方法について具体的に解説していきましょう。
まずは場所と方法を選ぼう【自宅 or 洗車場】
▶ コイン洗車場を使う場合
- 高圧洗浄機を使って短時間で効率よく汚れを落とせる
- 「下回り洗浄モード」付きの洗車機があると便利
- 水道代・機械トラブルの心配が少ないのも利点

▶ 自宅で手洗いする場合
- 高圧洗浄機を所有していれば自分のペースで丁寧に洗える
- 長時間かけて点検しながら作業できるのがメリット
- 作業スペース・水はけの良い環境が必要
高圧洗浄機の使い方と注意点
高圧洗浄機は便利な反面、使い方を誤ると部品の破損や水の侵入リスクもあるため注意が必要です。
- ノズルは地面と水平、またはやや後方から当てる
- 一点集中しすぎず、広範囲をサッと流すように
- 排気管や電装系は距離を取って軽く流す程度に
- 必ずエンジンを切って冷えた状態で作業を行う
手洗い派のための道具とおすすめアイテム
用途 | おすすめ道具 | ポイント |
洗浄用 | 高圧洗浄機(ケルヒャーなど) | 家庭用モデルでも十分対応可能 |
ブラッシング | 下回り専用ブラシ(ロングタイプ) | 泥やぬかるみ汚れに効果的。持ち手が長いものが便利 |
洗剤 | 中性カーシャンプー | 強い洗剤は素材劣化の原因になるため中性が安心 |
点検補助 | 点検用ミラー+スマホライト | 洗浄後の確認に活用。届きにくい奥まった部分にも◎ |


プロが教える!下回り洗浄のポイントと注意点
何も考えずに下回りを洗浄していると、思わぬトラブルが発生してしまう可能性があります。そこで、高圧洗浄機を使用して洗浄するにあたっての注意点をご説明しましょう。
H3:洗ってはいけない場所・気をつけたいパーツ
下回りを洗う際には、「とりあえず全部水をかければいい」というわけではありません。
むやみに高圧の水を当てることで、かえって不具合の原因になるパーツも存在します。
とくに以下のような場所は注意が必要です
- マフラーの接合部や遮熱板周辺
- ブレーキキャリパー・ホース類(ゴム・樹脂)
- 燃料ラインやエンジンの下部(オイルパン)
強くこすったり、近距離から水を当てるのはNGです。
「軽く流す」「距離を保つ」「真上から水を当てない」ことが鉄則です。
電装系・サビやすい部品は特に注意を
最近の車には、下回りにも多くのセンサーや電装部品が配置されています。
これらに水が侵入すると、誤作動や警告灯の点灯、最悪ショートや故障のリスクもあります。
注意すべき電装系の例
- ABSセンサー/スピードセンサー周辺
- ハイブリッド車やEV車の冷却系統やケーブル類
- アンダーボディのカプラーやコネクタ
また、金属パーツの合わせ目やボルト部は、構造上水が溜まりやすく、サビが発生しやすい箇所です。
【対策ポイント】
- 洗浄前に軽く水をかけて濡らしておく(泥の固着を防ぐ)
- 電装系は遠くから軽く水をかけて洗う
- 洗浄後はしっかり乾燥させるかブロワーで水気を飛ばす
下回り洗浄の頻度は?季節・走行環境で調整しよう
「どれくらいの頻度で洗うべきか?」は、車の使い方や住んでいる地域によって異なります。
以下はあくまで目安ですが、参考にしてください。
使用環境 | 推奨頻度 | ポイント |
雪国(融雪剤多用) | 月2回〜毎週 | 冬季はサビ防止のため高頻度が理想 |
海沿い(潮風・塩害) | 月1回 | 見えない塩分が付着してサビやすい |
山道・オフロード | 走行ごと | 泥や小石が溜まりやすく、こまめな洗浄が必要 |
市街地・通勤メイン | 月1回 | 雨の日や長距離の後は追加洗浄も検討 |
月数回しか乗らない | 季節ごと | 放置時の湿気・腐食防止のためシーズンごとに実施が安心 |
大切なのは、「汚れが見えなくても定期的に洗う」意識です。
下回り洗浄は愛車の長持ちに欠かせない習慣
見えにくい場所だからといって、下回りの汚れを放置するのはとても危険。
知らないうちにサビが進行したり、トラブルの原因になったりと、後から大きな修理費用につながることもあります。
下回りの洗浄は、特別なメンテナンスではなく“日常洗車の一部”として意識するのが理想的です。
下回り洗浄のポイントおさらい
- 雨・雪・泥道の走行後はなるべく早めに洗う
- 高圧洗浄機はノズルの距離と角度に注意
- 電装系・樹脂パーツ・配線まわりはやさしく
- 洗車後はしっかり水気を切って乾燥させる
- 季節や走行環境に合わせて頻度を調整する
こまめなケアが、車の寿命とリセールバリューを守る第一歩。
次回の洗車では、ぜひ“下回り”にも意識を向けてみてください。
また、雪国や海沿いなど、強い防錆が求められる地域では“アンダーコート”という選択肢もあります。
プロが行う長期防錆処理について知りたい方は、こちらをご覧ください。
👉 アンダーコートとは?施工の流れやメリットを解説