愛車をきれいに保つうえで避けて通れないのが「水垢」。
洗車をしてもミラー下やドアハンドルまわりに白い筋が残る──そんな経験はありませんか?
一見するとただの汚れのようですが、実はこの白いシミは水に含まれるミネラルや油分が乾いて固着したもの。
放置すると落ちにくくなり、最悪の場合は塗装面を侵食してしまうこともあります。
しかも「どの商品を選べばいいかわからない」「強くこすると傷がつきそう」と悩む方も多いはずです。
この記事では、カーコーティング専門店のプロが、
水垢の種類・原因・正しい落とし方・再発防止策を実践的に解説します。
正しい手順とケミカルを使えば、誰でも自宅で“プロの仕上がり”を再現できます。
水垢とは?白いシミの正体

車のボディやガラスに残る白いシミや筋──それが「水垢」です。
水垢は、水分が蒸発したあとに残るミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)や油分、汚染物質が乾いて固着したもの。
見た目は似ていますが、実際には以下のように種類が分かれます。
種類 | 原因 | 見た目 | 主な発生箇所 |
---|---|---|---|
水性水垢 | 水道水や雨水のミネラル成分が乾いて残留 | 白い斑点・輪ジミ | ボディ・ガラス全般 |
油性水垢 | 排気ガス・ワックス酸化・油膜 | モヤッとしたくすみ・黒ずみ | ミラー下・ドア下部 |
焼き付き(イオンデポジット) | ミネラルが塗装表面で化学反応・陥没 | 白い輪郭状の跡が消えない | ボンネット・ルーフ上面 |
水性・油性のどちらも放置すると、紫外線や熱で化学変化を起こし、いわゆる「焼き付き」や「イオンデポジット」に進行します。
この段階になると家庭用のケミカルでは除去が難しく、研磨処理が必要になることもあります。
👉 水垢がどのように固着するか、その化学的な仕組みはこちらの記事を参考にして下さい。
コーティングしていても水垢が出る理由
「コーティングしているのに、水垢がついた」
これは現場でも非常によく聞く相談です。実は、コーティング=水垢がつかない ではありません。
コーティングは塗装面を守る“膜”の役割を果たしていますが、表面に付くミネラルや油分までは弾ききれないことがあります。
とくに以下のような条件では、水垢が発生しやすくなります。
- 炎天下や雨上がりにそのまま放置している
- 硬水や井戸水で洗車している
- 洗車後に水滴を拭き取らずに乾かしてしまう
- 花粉・黄砂が付いたまま雨を受けている
つまり、「コーティングしているから安心」ではなく、コーティングしているからこそ定期的なケアが必要ということです。
コーティング層の上にミネラルが固着すると、それが白い輪ジミとして見えます。
これが、一般的に“水垢”や“イオンデポジット”と呼ばれるものです。
自分の車の水垢タイプを見極めよう
まずは、どんなタイプの水垢が付いているのかを見極めることが大切です。
原因によって使うケミカルも、落とし方もまったく異なります。
タイプ | 原因 | 特徴 | 対応ケミカル |
---|---|---|---|
水性水垢 | 水道水・雨水中のミネラル成分 | 白いシミ・輪ジミ・触るとザラつく | 酸性ケミカル(スケール除去剤) |
油性水垢 | 排気ガス・ワックス酸化・油膜 | モヤっとしたくすみ・黒ずみ | アルカリ性または脱脂系ケミカル |
焼き付き(重度) | ミネラルの焼結・化学反応 | 白い輪郭跡・研磨でも残ることあり | 専門店での研磨・再施工 |
見極め方のコツは以下の通りです。
- 濡らすと消える → 水性の可能性が高い
- 濡らしてもヌルつきが残る → 油性の可能性あり
- 何をしても落ちない → 焼き付き・イオンデポジット化
特に「白い点が光の角度で浮き出る」場合は、焼き付きの可能性があります。
その場合は無理せず、専門店に相談しましょう。
👉 焼き付き・白い輪ジミの詳しい原因はこちらの記事で
水垢の正しい落とし方【プロが実践する3ステップ】
白いシミや輪ジミが残る「水垢」は、汚れの性質を見極めてから正しく落とすことが重要です。
闇雲にこすったり、強いコンパウンドを使うと、塗装やコーティング層を傷めてしまうリスクがあります。
ここでは、コーティング車にも安全に使えるプロの方法を、タイプ別3ステップで解説します。
どれも自宅で実践できる内容なので、参考にしてください。
ステップ① まずは通常洗車で“表面汚れ”をリセット
水垢除去の前に、ボディ表面の泥・ホコリ・油膜を落とすのが基本です。
表面に汚れが残ったままケミカルを使うと、薬剤が均一に反応せずムラの原因になります。
使用アイテム
- カーシャンプー
- マイクロファイバークロス
- スポンジバケツ
手順
- たっぷりの水でボディ全体をすすぐ
- シャンプーを泡立て、上から下へやさしく洗う
- すすぎ残しがないように洗剤を完全に流す
- 吸水クロスでしっかり水分を拭き取る
この時点で軽度の汚れが落ちれば、それは“表面の油膜汚れ”であり、ケミカル処理は不要です。
それでも白い斑点が残る場合は、次のステップへ。
ステップ② 水性水垢は酸性ケミカルで中和除去
白く輪ジミのように残る汚れの多くは「水性水垢(スケール汚れ)」です。
これは水道水や雨水に含まれるカルシウム・マグネシウムなどのミネラル成分が乾いて固着したもの。
アルカリ性の性質を持つため、酸性ケミカルで中和して溶かすのが最も効果的です。
使用アイテム例
- 酸性スケール除去剤
- ゴム手袋
- マイクロファイバークロス or 専用スポンジ
作業手順
- ボディを冷たい状態にする(炎天下では施工しない)
- ケミカルをクロスまたはスプレーで塗布
- 数十秒~1分ほど反応させる
- やさしくなでるように拭き上げる
- 水でしっかりすすぎ、乾拭きで仕上げる
💡 プロのおすすめ
「SPECIALE 1-one」は、酸性ながらコンパウンドを含まないため、コーティング施工車にも安心して使えます。

ステップ③ 油性水垢は脱脂系クリーナーで分解除去
もし触った時にヌルつきやモヤ感があるなら、それは油性水垢の可能性が高いです。
排気ガスや古いワックス成分が酸化して膜状に残っている状態で、酸性ケミカルでは反応しません。
使用アイテム例
- 脱脂シャンプー or 油分対応のケミカル
- マイクロファイバークロス
- 乾いた拭き上げタオル
作業手順
- 洗車後の濡れた状態でケミカルを塗布
- 30秒~1分おいて軽く拭き取る
- 水で完全に流す
- 拭き残しのないよう乾拭き
💡 プロのおすすめ
「SPECIALE パネルプレップ」は、花粉・黄砂などの汚れと同時に油膜を分解できる万能ケミカル。
水性と油性の見分けが難しいときにも、まずはこの脱脂処理を試すと効果的です。
作業時の注意点と失敗しないコツ
- 炎天下では行わない
→ ケミカルが急速に乾燥してムラやシミの原因になります。 - いきなり全体に使わない
→ 目立たない場所で必ずテストしてから使用。 - 力任せにこすらない
→ 水垢の下に汚れを引きずり、スクラッチ傷の原因になります。 - 乾拭きで終わらせない
→ ケミカル残留が再付着の原因になるので、必ず水洗い後に拭き取り。
水垢を再発させないための洗車と予防法
水垢は「落とす」より「付けない」ほうが圧倒的に楽です。
再発を防ぐには、日常の洗車とメンテナンスでミネラルと油分を残さない習慣をつけましょう。
再発防止のポイント
- 洗車後はすぐに吸水クロスで拭き上げる
- 炎天下では洗車を避け、早朝や夕方に行う
- 月1回の軽いスケール除去でミネラルの蓄積を防ぐ
- 施工後はスプレータイプのコーティングで表面保護
💡 おすすめメンテナンス
スケール除去の後に「SPECIALE グロスブースター」を塗布すると、
撥水と防汚性が高まり、水滴が残りにくくなります。

落ちない“白いシミ”は別の原因かも?

ここまでの方法で落ちない場合、
それは塗装やコーティング層に焼き付いた「イオンデポジット」の可能性があります。
この段階になると、ケミカルでは反応せず、専門店での研磨や再施工が必要になります。
詳細は 👉 コーティング後に残る白いシミの正体と対処法
(焼き付き・再施工対応を詳しく解説)
まとめ
車の水垢は、放置すると塗装やコーティングに深刻なダメージを与える厄介な汚れです。
「白いシミ」が気になったら、まずは水性か油性かを見極めることが重要。
水性の水垢には酸性ケミカル、油性の水垢にはアルカリ性クリーナー。
そして、作業後の拭き上げと定期的な洗車が再発を防ぐ最大のポイントです。
無理に擦ったり、家庭用の強い薬剤を使うと逆に悪化するケースもあるため、
落ちない場合は迷わず専門店へ相談しましょう。
正しい方法でケアすれば、愛車の輝きを長く保つことができます。
よくある質問(FAQ)
- クエン酸や重曹で車の水垢は落ちますか?
-
軽度の水性水垢であれば、クエン酸や重曹を使って落とせる場合もあります。
クエン酸は酸性でミネラル成分を中和するため、白いシミ(水性スケール)には効果的です。
一方で重曹は弱アルカリ性なので、油膜や排気ガス汚れなどの油性水垢に有効です。ただし、どちらも家庭用レベルでは除去力が弱く、塗装やコーティングを痛めるリスクもあるため注意が必要です。
強く擦らず、広範囲に使わないのがポイントです。頑固な水垢は、車用の専用ケミカルを使用しましょう。 - 黒い車の水垢が目立つときの対策は?
-
黒や濃色車は、白く乾いたような水垢(ミネラル汚れ)が特に目立ちます。
洗車後に拭き残しがあると、白いシミが浮き出やすくなるため、洗車後は陰で作業し、マイクロファイバーで完全に拭き上げることが最も効果的です。また、水性水垢の場合は酸性スケールリムーバー、油性の場合は脱脂系ケミカルを使い分けましょう。
それでも取れない場合は「塗装への焼き付き(イオンデポジット)」の可能性があるため、その際は専門店での研磨処理を検討してください。 - コーティング車の水垢落としにコンパウンドは使っていい?
-
基本的にはおすすめしません。
コンパウンドは塗装表面を研磨して落とすため、コーティング層そのものを削ってしまうリスクがあります。
特にセラミックコーティング施工車では、軽い研磨でも防汚層を損なう場合があります。まずはコーティング対応のスケール除去剤を使い、それでも落ちない場合のみ専門店に相談を。
プロはコーティングの種類や厚みを見極めた上で、安全に再処理を行います。 - 水垢とイオンデポジットの違いは?
-
どちらも「白いシミ」として見える汚れですが、性質はまったく異なります。
水垢は表面に残った汚れ(ミネラル・油分)で、ケミカルで除去可能です。
一方、イオンデポジットは塗装やコーティング層の内部にまで浸透・焼き付いた状態で、
薬剤では反応しません。見極め方の目安は、「濡れると消えるかどうか」。
濡らすと消えるなら水垢、濡れても残るならイオンデポジットの可能性があります。