ワックスとコーティング剤はどちらもボディーの保護剤としての役割を持ち、傷や汚れから愛車を守るためのアイテムです。
実は広い範囲で考えると、ワックスもコーティングに含まれます。しかし、最近ではワックスとコーティングを分けて考えるのが一般的になってきています。
そこでワックスとコーティング剤の違いを正しく知り、あなたの愛車に合うものを選んでみてはいかがでしょうか?
今回は、ワックスとコーティング剤の違いについて紹介します。
ワックスの特徴は?
洗車後にワックスがけをしたことがある方は多いのではないでしょうか?価格もお手頃でカー用品店には必ず置いてある商品です。
馴染みのあるワックスですが、洗車後にかけるものという認識だけで、何でできているかということはあまり知られていません。
まずはワックスについて詳しく紹介します。
ワックスの原料
ワックスの原料はヤシの葉から取れた植物性の樹脂で天然カルナバ蝋という天然のものになります。
人工的に作られたコーティング剤と異なる大きな特徴でもあります。
カルナバというのは主に南米大陸に生息しているヤシで、厳しい乾季を乗り越えるため、このカルナバ蝋によって水分が蒸発してしまうのを防いでいるのです。
ただし、このカルナバ蝋だけでは硬くて使用できないため、溶剤や添加物を添加することで商品として仕上げています。
原料は同じですが、この溶剤や添加物が違うことで、メーカーごとの商品の差となっています。
ワックスの種類
ワックスの種類(形状)は大きく分けて3つあります。
固形タイプ
固形タイプのワックスは研磨剤を含まず、塗装面を保護する用途で使用されます。
3種類の中で一番深いツヤ(光沢)を出すことができますが、塗りムラができやすく完璧に仕上げるためにはコツが必要です。
半練りタイプ
半練りタイプはツヤ出しや塗装面の保護という効果だけでなく、クリーナーとして使われることもあります。
ほとんどの半練りワックスには、研磨剤が含まれており古い劣化したワックスや水垢も除去することが可能です。
液体タイプ
液体タイプはメーカーによっても用途は多種多様です。
固形タイプのように塗装面を保護することをメイン用途としているものもあれば、クリーナーとして使用するものまであります。
事前にご自身の用途とあったものを調べておく必要があります。
車にワックスがけをするメリット
車にワックスをかけるメリットは色々とあります。
- 撥水効果に優れ、雨や水しぶきからボディを守る
- ワックス特有の深くて美しい艶が出る
- 価格が安く、自分でDIY(施工)しやすい
洗車のたびにワックスがけをすることもできますので、車への愛着もどんどん深まっていくでしょう。
車にワックスがけをするデメリット
逆にワックスがけのデメリットもご紹介します。
- 効果の持続性が短い
- 雨で流れた時にガラス面に油膜を作る恐れがある
- 磨き傷がついたり、乾燥前に汚れが付着してしまう
- 塗るのに手間がかかる
ワックスの効果はとても短く、一度雨に降られただけでもその効果は減ってしまいます。また、ワックスに含まれているシリコンが雨によって流れ出てしまうと、フロントガラスに油膜を作ってしまう恐れもあります。
さらに、ワックスには研磨剤(コンパウンド)が含まれるものもあり、磨き方を間違えるとボディにキズができてしまうことも。
ワックス選びのポイントは?
ワックス選びのポイントを簡単に紹介します。
- 持続性を重視→固形タイプ
- ツヤにこだわりがある→固形タイプ
- こまめにワックスがけをする→半練りタイプ
- 水垢や細かいキズが気になる→半練りタイプ
- 手軽にワックスをかけたい→液体タイプ
自分でワックスがけをする方法
ワックスが決まったらいよいよ実際のワックスがけ作業です。やり方を工程順にご紹介していきます。
- まずは洗車
- ワックスをスポンジに取る
- ワックスをボディに塗る
- 少し乾燥させる
- 乾いた布で拭き取る
ワックスがけの注意点
- 天候に気をつける
- パーツごとに仕上げていく
- ガラス、樹脂パーツにワックスが付かないようにする
- ワックスを多く取ったり強くこすったりしない
コーティング剤の特徴は?
ここまでワックスの特徴について紹介してきましたが、次に最近主流になっているコーティング剤についてご紹介します。
「ワックスとコーティングの違い」で真っ先に思い浮かぶのが「ワックスは洗車後に自分で塗るもの」「コーティングは専門業者に依頼するもの」ではないでしょうか?
実際にコーティングは専門業者によって施工されることが多く、ワックスに比べて価格も高い傾向にあります。
しかし、近年は初心者でもスプレー式で簡単に施工できるタイプのコーティング剤も多く売られています。
コーティング剤の原料
天然成分が主な原料のワックスと違い、コーティング剤は人工の化学物質が主な原料です。
コーティング剤は種類が多く、成分は製品によって様々ですが、どれも塗装面に定着した際の化学反応によってボディ上に強靭な皮膜を形成します。
コーティング剤の主な種類
ワックスも用途によって種類がありましたが、コーティングも何によってコーティングをするかによって色々な種類があり、特徴も異なります。
ここでは色々なコーティングの種類をご紹介していきたいと思います。
油脂系コーティング
油脂系のコーティングは、主にワックスのことを指します。
ポリマー(樹脂系)コーティング
1969年デュポン社によって開発されたポリマーコーティング。
樹脂系コーティングは高分子化合物と言われる、フッ素やテフロンが主な成分です。
コーティングの中では比較的安価でツヤも得られますが、この後ご紹介するガラスコーティングに比べると、効果の持続期間が短いという特徴があります。
もちろんワックスよりは効果は持続しますし、光沢とツヤのある仕上がりになりますので、新車を納車する際にディーラーにて施工することもあります。
ガラス系コーティング
樹脂系にガラス繊維が含まれているコーティングをガラス系コーティングといいます。樹脂系コーティングに比べても効果の持続期間が長いのが特徴です。
ガソリンスタンドなどで施工できるコーティングのほとんどは、ガラス系コーティングです。
ガラス成分がわずかでも含まれていれば、ガラス系コーティングとなるため、実際にガラス成分の効果がないものでもガラス系コーティングとうたわれることも。
また、ガラス系コーティングとガラスコーティングの線引きが曖昧で、ガラスコーティングの中にはガラス系コーティングに分類されるものも多くあります。
ガラスコーティング
100%完全無機質のガラス被膜形成するコーティングをガラスコーティングと言い、硬くて強力な保護膜によってボディを守ることができます。
ガラスコーティングとガラス系コーティングの違いは正直なところ曖昧で、業者によってもその意味が異なることが多いです。
例えば有機物が含まれているものをガラス系コーティングといって、有機物が含まれていないものをガラスコーティングといったり、化学反応しないものをガラス系コーティングといって、化学反応するものをガラスコーティングというなどまちまちです。
一般的にガラスコーティングといわれる方がより強い皮膜でボディを守ってくれ、効果の持続期間も長い傾向にあります。
かつてはワックスの方がツヤ感が深いとされていましたが、近年ガラスコーティング剤は進化を遂げ、深みのある艶や光沢を出すことができるものもあります。
カーコーティングの種類(比較)
車のコーティングの特徴や価格を種類別に比較した一覧がこちらです。
コーティングのメリット
ワックスとコーティングを比較した際のメリットを紹介します。
- 被膜が強固で、あらゆる外的要因から車のボディを守る
- 被膜効果が長期間持続する
- 汚れがつきにくく、落としやすいため洗車が楽になる
コーティングのデメリット
いいことばかりのように思えるコーティングですが、何かデメリットはあるのでしょうか?
- ワックスよりも高価
- 専門知識が必要な場合も
- 汚れたままだと、コーティング皮膜によって汚れを閉じ込めてしまう
コーティング選びのポイント
コーティングの種類を色々とご紹介してきましたが、これだけ種類があると迷ってしまうというのもうなずけるところです。
そこで用途別にどのコーティングを行うといいかというのをまとめたいと思います。
- 価格(安い)で選ぶ→ポリマー系コーティング
- 耐久性で選ぶ→ガラス系orガラスコーティング
- 撥水性で選ぶ→ポリマー系コーティング
- 被膜の強さで選ぶ→ガラスコーティング
ワックスとコーティングの違い まとめ
ワックスとコーティングの違いはわかりましたか?
どちらも大切な愛車をキレイに魅せ、ボディを守る大切なものです。
自分の好みにある艶感や施工方法をぜひ試してくださいね。
素敵なカーライフを!